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 自分を知るという行為は一人称(自分)の行為ではありますが、三人称(第三者)のレベルも含んだ行為でもあります。そもそも、自分のことを一人称的に理解するとはどのような意味があるか考えたことがありますか。

 例えば、誰かがあなたに「自分のことについて話してください」と聞かれたら、あなたはどのように答えますか。自分のことだと、「氏名」「年齢」「職業」「趣味」「学歴」「家族」などについて思い浮かべるかもしれません。

 これらは、「自分」に属する事実について語っていることになります。それでは少し質問の内容を変えて、「あなたの特質について話してください」と聞かれたらいかがでしょう。

 ある人は、自分は「温厚だ」「我慢強い」「人当たりがよい」「記憶力がよい」「フットワークが軽い」「ものごとの本質を見極めるのが得意だ」などと答えるかもしれません。

 さて、これらの答えを前の質問の答えと比べてみてください。

 前出の答えと比較すると、後の答えの内容はどれも「行為」について表現しています。元々の自分の性格・性質がそのような行動をとる要因となっているのか、あるいは行動の結果そのような性格・性質を身に付けたという議論はさておき、このような類の行為は仕事上で、あるいは他者との関係の中での行動を示していることが分かります。

 それらの行為の主人公である自分は主体的(一人称のレベルで)にそのような行動をとっているのですが、他者(三人称)がいなければそのような行為は意味をなさなくなります。すなわち、相手との会話がなければ本人が「温厚」なのか「人当たりがよい」のか分からないのです。

 また、仕事や何かの作業を通してでなければ(周りの人と比較し)、本人が「我慢強い」のか「すぐにあきらめてしまうのか」、あるいは「行動が俊敏なのか」それとも「反応が遅い」のか判断するのが難しいのです。このように考えると、私たちの行為は一人称のレベルでの行動を捉えているのですが、そこには必ず行為を向ける対象者(三人称)の存在が必要であることが分かります。

「自分」とは何者かを気付くには、まず、行為の主人公である本人が第三者的に自分の行動を認識できること(このように自分を客観的に観察する行為をメタ認知と呼びます)が重要になります。自分の行動を別の次元で見る自分。不思議な現象です。なお、本人がある特質を持っているかどうかは、本人ではなく他者が判断することが多いため、ここに他者(三人称)からの指摘が必要になってくるのです。

「自分」とは何者か。それを知るには、行為の主人公である「私」とそれを客観的に観ることのできる「わたし」、そして行為の対象者である「第三者」の関わりが必要なようです。

 次回のコラムでは「自分」を知る手がかりとなる方法の一つ、ジョハリの窓( Johari Window )というフレームワークを紹介したいと思います



********* 【筆者プロフィール】 ****************************************

奥村幸治
パーソネル・ディシジョンズ・インターナショナル・ジャパン株式会社(PDI)コンサルタント 人材開発に関わるコンサルタント、アセスメント、トレーニング、コーチングに携わる。ブリガムヤング大学カウンセリング心理学博士課程終了。心理学博士。NPO国際ボンディング協会理事。さめじまボンディングクリニックカウンセラー
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