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南和気の時代を勝ち抜く若手の育て方

若いリーダーに必ず教えなければいけないこと(2)

若いリーダーは、新しい発想、熱意、既成概念に捕らわれない良さがある一方で、その反面メンタリティの浮き沈みが大きくなることも事実です。当然、それは経験によって補完されていくものですが、それを待っているのではいつまでたってもリーダーの若返りは実現しません。海外の企業はメンタリティの強さや経験の不足を仕組みによる育成でカバーしながら、優秀で若いリーダーを育成しているのです。

◆リスクをとって、チャレンジさせること
日本企業と海外企業の最も大きな差の一つは何か、それはリーダー育成のスピードだと思います。多くの企業の人材育成を見てきましたが、研修プログラムの緻密さや、細やかさは、日本は恐らく世界トップクラスにあります。そして、多くの企業が若いリーダーの育成を経営目標に掲げているにもかかわらず、日本の経営者の平均年齢は年々上がっているのです。いったい何が起こっているのでしょうか。これは、「人材育成=教育研修」として捕えてきた日本企業の長い歴史に原因があります。海外の企業では、8:2の法則という考え方がすでに2000年ごろから定着しています。これは、人材育成プログラムにおける優先順位と効果に対する考え方で、8はチャレンジングな配置による経験で、2は教育研修とされています。つまり、「人材育成=戦略的な配置」という考え方です。この違いが3年、5年、10年というスパンで圧倒的な差を生んでしまっています。

◆何をリスクと考えるのか
先日、ある大手海外企業のグローバルHRのトップであるアメリカ人のMさんと、若手人材のリーダー育成について話す機会がありました。その企業では、30代で部長、40代で本部長、部門長を育成するというサイクルが回っていて、日本法人でも実際に30代後半の部長がバリバリと現場を仕切っています。なぜこのように若く優秀なリーダーが継続的に育成されているのかという私の問いに対して、彼はこう答えてくれました。
「全世界の企業で、若いリーダーを作ることが重要な企業戦略であることはよく理解されています。若いことが全てではありませんが、この変化の時代を勝ち抜くには、極めて重要であることは明確なのです。そして多くの大企業には、私の見るところ日本企業も含めて、すでに多くの優秀な、可能性を持った若手が存在しています。あとは、彼らに任せられる企業であろうとするか、そうでないかの違いだと思います。経験が少ないことは、リスクとは限りません。可能性でもあります。また、若さゆえの弱点があることも事実でしょうが、それを補う仕組みを作ることこそ、これからの人事の仕事でしょう。自然に育つことをただ待つことが、企業にとっては大きなリスクになる時代です」
当たり前のように聞こえますが、これを実行することは容易では多くはありません。

イメージ図

◆優秀な人材同士を掛け合わせる、リーダーコミュニティー
若いリーダーの弱点を補う仕組みの一つとして必ず行われている手法が、リーダーコミュニティーの活用です。同世代で優秀な人材として選抜されたリーダー候補を集め、彼ら自身の目線で、彼ら自身の普段の行動を振り返り、議論し、目指すべき姿や、改善すべきことを互いに認識し、そしてチェックし合うのです。日本企業における選抜研修などでも、選抜されたリーダーがまとまってトレーニングを受けることはよく行われています。しかし、リーダーシップとはあくまで人間性ですから人間性は日々の活動の中で常に意識し、観察し、Feedbackし合うということでしか育成されません。シニアなトップエグゼクティブ向けには、いわゆるプロのコーチングサービスを利用することも良いでしょう。しかし、若いリーダーの人間性を素早く改善していくには、若いリーダー同志でコーチングするのが、一番高い効果を得られます。なぜなら、互いの人間性の弱みとして映ることが、そのまま自分の弱みでもあり、互いが鏡となって改善していけるからです。
通常、3人1組程度でコミュニティを作り、1か月に1度定期的にFeedbackの会を開催し互いの改善点を具体的に共有します。これを12か月から18か月継続し、3か月から半年に1度は人事部がオブザーバーとして参加します。2人よりも3人にすることで、客観的な視点を入れることができ、高い効果を得ることができます。

◆世代の特徴を捉えたプログラム設計を
これからのリーダー育成は、多様で個性の強い人材をまとめていける素養が必要です。トップダウンで、「俺についてこい」というだけのリーダーシップではグローバル市場で通用しません。若いリーダーを育成するメリットを得るために、弱点となる部分を補う育成プログラムの実行こそが、これからの人材育成に欠かせない要素です。

・今日の一言
人物養成について最も注意しなければならぬことは、欠点を探さず長所を見ることである。欠点は誰にでもあるのだから、それをあまりやかましく言わず、その人の長所と美点を認めてやらねばならない。
小林 一三 阪急・東宝グループ創業者

次回もお楽しみに!

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********* 【筆者プロフィール】 ****************************************

南 和気

SAPジャパン株式会社 人事/人財ソリューションズ Director
大阪大学法学部卒業後、米国企業を経て2004年よりSAPジャパンに入社。
人事・人材戦略のコンサルティングおよびIT活用の提言に従事。
国内外含め多くの顧客企業に"日本型タレントマネージメント"を導入。
講演多数。

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