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第8回 海外企業の取組から探る、日本発グローバル人事のあり方
〜対談 日本GE株式会社 樋口 真奈美氏:ローカルの力を最大限に活用するグローバライズ〜

 日本企業にとってのグローバル人事のあり方について、「中央集権」、「現地化」、「グローバライズ」といった3つの段階をご紹介してきました。多くの企業にとって、目の前に迫る「現地化」、そして、その先にある「グローバライズ」をどのように目指していくのか。今回からは、すでに先行して取り組んでいる企業の事例を交えながら、日本企業にとってのこれからのグローバル人事のあり方をご紹介していきたいと思います。
 今回はグローバル経営、グローバル人事の先進企業として著名なGEの日本法人である、日本GE株式会社 樋口さんにお話を伺っていきたいと思います。

  「樋口さん、本日はありがとうございます。樋口さんは日本GEに入社されて以来、一貫して人事を担当されていますね。もうどれくらいになりますでしょうか。」

樋口(以下敬称略)  「私はGEに入社して6年目になります。その間、複数の事業部門において様々な人事業務を経験し、現在は日本のGEの全事業部門の採用を統括しています。」

  「昨今、日本企業によるグローバル人事、中でも現地人材の活用や育成が大きなテーマとなっています。GEでは、ローカルの人材が、現場からトップも含めてローカル法人で活躍されています。このような現地化はどのように進められたのでしょう。」

樋口  「GEではまず、『その国のビジネスはその国の人材がリードする』という考え方が企業のポリシーとして浸透しています。これはGEがグローバル企業として経験を重ねる中で見出されたものであり、現在では各国で一貫して実行しています。しかし、最初からこの方針があったわけではなく、この知見を得るまでには、試行錯誤の積み重ねと時間を経てきています。」 <font color=
樋口 真奈美氏
日本GE株式会社 人事部 採用グループ グループマネージャ―

  「現在GEでは、アメリカ人とそれ以外の国籍の方々の割合はどれくらいになっているのでしょうか。」

樋口  「約15年前にはおよそ70%をアメリカ国内の社員が占めていましたが、現在のアメリカ人社員比率は半分を割り、45%程度となっています。また売上に関しても、2007年にアメリカ国内での売上をアメリカ以外の地域が上回りました。これを早いというか遅いというかは別として、GEのグローバライゼーションの進展はここ10数年の間に急激に進展してきており、またまだまだ過渡期でもあると考えています。」

  「なるほど。国籍構成もさることながら、そのような中で注目したいのは、各国法人のトップが基本的にその国の人材で、しかも内部育成を基本に考えておられるところだと思います。これは全世界共通の方針でしょうか。」

樋口  「はい。この点はかなり早い時期から力を入れて取り組んできました。例えば、日本GEの経営陣のほとんどは日本人、かつGE内部から選抜、育成された人材です。さらに、GEにはアジア、ヨーロッパ等、リージョンと呼ぶ経営単位があり、これらのポジションには国籍を越えたアサインをしていますが、基本的にアジアリージョンはアジアの人材が担当しています。」

  「徹底されていますね。日本企業にとって、ローカル人材にローカル法人の経営を任せるということが、現地化の目標でありハードルでもあると思いますが、GEでの成功要因はどこにあるとお考えですか?」

樋口  「これは人事的側面で言うならば、共通の企業文化の浸透に尽きると思います。GEでは、どの事業、どの国に行っても常に同じ企業文化や価値観が貫かれています。よく知られている評価指標として、GE が独自に定義した “Growth Valuesがありますが、私はこのGrowth Valuesと共に、その根底となる企業文化というものの影響が大きいと感じています。」

  「一般的には”Way”や”行動規範”というものにあたるでしょうか。」

樋口  「そうですね。例えば、採用、人事考課、または普段のコミュニケーションの中で、どの国、どの部門に行っても常に口を揃えて言われるのが、『GEは”実力主義”で、”グローバルな環境”で、”オープン“で、”正しいことを正しくやれる会社”だ』といった言葉です。このようなシンプルな表現で語られる企業文化や価値観が徹底されていることで、グローバル経営としての統制が各国隅々へ及んでいると思います。」

minami
南氏
  「なるほど。 一方で、人事制度についてもお伺いしてみたいと思います。各ローカル法人を横串で貫きながら、グローバルな育成プログラムや選抜の仕組みを実行されていますが、実際に評価や選抜、教育の制度は完全にグローバライズされているのでしょうか。」

樋口  「はい。人事制度はグローバルで統一されています。組織構成上自分の国以外の人が上司となることも多く発生するので、逆に言うとそうでなければスピードを持って事業を推進することができないからです。ただ、全てがグローバルで共通なわけではなく、各国の裁量によって実施される教育プログラムもあります。例えば日本人は芯があってチームワークには長けていますが、他の国の人と比較するとおとなしすぎて考えがないように見られてしまうことがあり、現在日本ではこの点の開発に力を入れています。よくGEはグローバルで全てが統一されているかのように見られることもあるのですが、実際の人材育成は、グローバライズとローカライズのバランスが大事だと思います。」

  「おっしゃる通りですね。 最後に、今後もローカル人材の採用を強化されていくと思いますが、GEではどのような人材を求めているのでしょうか。」

樋口  「GEは、先ほどお話した企業文化に同意頂ける方であれば、年齢、国籍、性別、さらには経験さえも問わず、無限にチャンスがあり、活躍頂ける場です。また、中途だけではなく、新卒、第二新卒といった様々なバックグランドの方を年間を通じて採用していますので、ぜひ一度HPをご覧頂きたいと思います。」
日本GE株式会社 採用ホームページ ( http://www.ge.com/jp/careers

 いかがでしたでしょうか。GEの事例は、多くの場や書籍で語られています。しかし、GEといえども、過去からの試行錯誤の中で今の姿があり、さらなる成長を目指して今も変化を続けています。
ローカル人材にローカル法人の経営を任せるために、企業文化やWayにあたるものを重要視している点や、グローバライズとローカライズのバランスについては、まさに日本企業のヒントになる点です。

 次回は、育成の観点から、グローバル人事の事例をとりあげてみたいと思います。
 ぜひお楽しみに。

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********* 【筆者プロフィール】 ****************************************

南 和気

SAPジャパン株式会社 HCMソリューション部 部長
大阪大学法学部卒業後、他社を経て2004年よりSAPジャパンに入社。
人事・人材戦略のコンサルティングおよびIT活用の提言に従事。
国内外含め多くの顧客企業とのディスカッションを通じ
日本型タレントマネージメントを研究、提唱。
講演多数。

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