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ホーム > 南 和気の“適所適材のススメ” 〜最前線の現場から伝える人材育成〜 (第5回)
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第5回 「日本型適所適材」のススメ  〜サクセッションマネージメント(後任者管理)成功のカギ
〜配置と新陳代謝〜

 リーダー育成を語る際に、必ず話題として出てくるのが、「仕事上の厳しいチャレンジによる育成」や、「修羅場を体験させる」といったフレーズです。つまり、当たり前のことですが、リーダーを育成するにはチャレンジを与えるような配置を戦略的に行うことが不可欠です。
以前講演でご一緒したオリックスの人材副部長はこう語っていました。
「今の変化の時代に対応できるリーダーは、若いうちから意識的に育てなければならない。覚悟と責任をもってチャレンジを与えなければリーダーは育たない。育つのを待つ時代は終わり、無理にでも育てなければスピードには対応できない」
しかし、多くの企業においてこの配置戦略に悩みを抱えていると思います。今回からは、日本企業のこれからの人材配置戦略についてお話していきたいと思います。

 毎年この時期になると、プロ野球など多くのスポーツが開幕を迎え、ファンの皆さんは、”今年はどんな若手がでてくるかな”と、新戦力の台頭を楽しみにされる方も多いでしょう。しかし、例えばプロ野球は、1球団に選手として登録できる選手の総数が決まっています。
つまり、今話題の”ハンカチ王子”のように新しい選手が入団すると、その分、違う選手が同じチームから姿を消していることになります。プロ野球では、選手がチームに加わる方法が主に二つあり、ドラフト制度といって、新人選手が毎年入団する方法と、トレードやFA制度によって選手が中途で所属球団を変わる方法です。これは新卒採用と中途採用を行う企業の採用活動と似通っていますね。一方、選手がチームを去るにも二つの方法があります。一つは引退や、FA制度(選手の意思でチームを去る)、もうひとつは、戦力外通告や、トレード通告(チームの意思で選手が去る)です。これについては、後ほど述べますが企業の退職制度とは少し事情が異なります。
このように、プロ野球では若手の抜擢や、他チームからの新戦力の補強によりチームを強化する一方で、同じだけの数の選手がチームを去りながら組織の新陳代謝を進め、プロ野球全体のレベルの向上や、ルールの変化に対応しています。
最近の日本企業の状況は、このプロ野球の組織戦略に少しずつ似てきたように思います。

 かつての日本企業は、若手の抜擢や新しいチャレンジの場を作るために、比較的柔軟に新しい役職(例えば、部長代理や、課長補佐など) を作ったり、または部門人員の増員を行ったりしていました。しかし、現在は命令・責任ラインの明確化や職務給の導入により、ポスト削減の傾向が強く、また人件費の厳しいコントロールのため、そう簡単に人を増やすこともできません。
つまり、企業もプロ野球のように、「限られた人数、役職における配置戦略」を現実的に機能させなければなりませんし、そのためには、ある程度新陳代謝を行うことを前提とした制度設計を行わなければなりません。 これは、避けることのできない現実です。
さらに、プロ野球の球団以上に、企業が抱える厳しい現実が二つあります。

 一つは、従業員の人口構成が年代別にいびつになっていることです。プロ野球では毎年新人をほぼ同数ずつ採用しているので、世代の空洞化は起こりにくいのですが、日本企業の採用戦略の中枢を占めている新卒採用は、景気の影響を受けて大きく人数が変動してしまうため、人口構成に空洞ができてしまいます。現在の日本の状況では、バブル崩壊後の30-35歳世代、失われた10年の後の22-25歳世代は、一般的に空洞世代と言われ、あと数年後には、最も活躍しなければいけない世代の人材難が現実化すると同時に、上位のポストが埋まってしまい、新陳代謝は滞ります。
チャレンジをさせるための配置をさせたくても、役職も空いていないし、さらに人材がいないので、新陳代謝したくても後任がいない。という悪循環に陥いることを避けるため、世代の空洞化を埋めるべく、他の世代で代替するか、中途採用で人材を補うかのどちらかの手法が必要となります。現在日本企業の中途採用が、課長職や、その少し手前のポジションに偏っているのはそのためです。

 もう一つ、日本企業における新陳代謝の難しさは、プロ野球のように戦力外通告を簡単には行うことができないという点です。つまり、「自分の意思」を尊重した新陳代謝の仕組みや、「キャリアの複線化」が必要になります。これは制度的には、早期退職制度や、前回の号でご紹介した社内公募制度、さらには管理職を外れるというキャリアパスをどう設計するか、ということに落とし込まれます。
このときに必要となるのが、「適所適材」の考え方です。つまり、人と人の優劣を比較するのではなく、今この役職やポジションにチャレンジさせるには、誰がふさわしいか、という観点で配置戦略および制度を設計することで、組織として正しい人材配置と新陳代謝を行うことが可能となります。

 GEのリーダー育成プログラムでは、2年間で3つ以上のポジションを経験し、成果を出し続けることを求められます。こういった配置に基づくリーダー育成によって、海外企業では、ジェフ・イメルトやカルロス・ゴーンといった世界を代表する経営者達が早期に育成されています。(彼らは40歳代で内部昇格によってCEOに就任し、30歳代にはすでに経営幹部としてのポジションについています)。
日本企業が今後グローバルな競争に勝ち抜くためにも、リーダーの早期育成と配置戦略が必要です。
次回は、さらに「日本型」これからの配置戦略についてお話を進めます。

 第6回もどうぞお楽しみに。

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********* 【筆者プロフィール】 ****************************************

南 和気

SAPジャパン株式会社 HCMソリューション部 部長
大阪大学法学部卒業後、他社を経て2004年よりSAPジャパンに入社。
人事・人材戦略のコンサルティングおよびIT活用の提言に従事。
国内外含め多くの顧客企業とのディスカッションを通じ
日本型タレントマネージメントを研究、提唱。
講演多数。

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